この手を離さない
理沙や未央と別れ、帰宅する途中に光輝からのメールが届いた。



明日の土曜日、部活の後で買い物に行こうとのこと。



就職活動の面接に着ていくスーツを買いたいらしい。



そう言えば、昨夜うちの親もそんなことを言っていたな。



「あんたもそろそろスーツ要るんでしょ? 後でお金あげるから、光輝君と買いに行ってらっしゃい」



とかなんとかお母さんが。



その隣で、



「光輝は相変わらずチビだから、ズボンの裾20センチ以上切ることになりそうだな」



とお父さんも笑っていたっけ。



仮にも光輝はよそ様のご子息だというのに、そんなこと言っちゃって。



私の両親にとっても、完全に光輝は息子のような存在だった。


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