この手を離さない
確かに、バスケは身長が高い方が有利だ。



実際に、長身の下級生からレギュラーの座を奪われるような悔しい想いを何度も経験している。


そして、そんなことがあった日には、決まって夜中に家を抜け出し決まって近所の公園へ向かった。



そこには、バスケットのゴールが設置されている。



夜が明け、東の空が白む時間までそこで1人シュートを繰り返す。



幾度と無くそんな光景を目にしたことがある。
 


光輝は本当にバスケが好きだった。



ハンディなんかに負けず、いつも悔しい思いをバネに頑張っていた。



そのひたむきさが、私の心を捕らえて離さない大きな理由の1つだ。



普段はふざけてばっかりのこの男が、バスケが絡んだ時だけは別人のようにたくましくなる。



以前未央が言っていた、光輝のことで騒ぐ下級生というのも、おそらく部活中か試合中の光輝を見たのだろう。



普段の光輝にそこまでの吸引力はない……はず。



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