この手を離さない
その日は突然やって来た
「だから、告白しかないでしょう!」



「そうそう! いい加減覚悟決めろ!」



月曜日。



部活前にBerryに立ち寄って土曜日の出来事を未央と理沙に報告すると、またしても2人からドヤされた。



「いやいや、昨日の様子を見たらますます出来ないよ。だってさ、笑い転げてたんだよ!?」



悔し紛れに、私はウーロン茶を一気に飲み干した。




「そんなの言ってみなきゃ分からないじゃない。今は何とも思ってなくても、告られたことで意識しだすこともあるわけだし」



「理沙の言う通りだよ。万が一振られたって諦める気ないんでしょ?だったら当たって砕けてみなよ!絶対何かが変わるはずだよ」



断固として告白を主張する2人を尻目に、



「当たって砕けて……」



と遠くをみつめて呟いた。



そんな私を見て、



「いや、砕けるとは限らないけど……」



未央は慌てて訂正する。



「ところで、その肝心の光輝は今日お休み?」



「なんか風邪気味なんだって。頭痛いとか何とか。ばかは風邪なんか引かないはずなのにね」



こんな風に憎まれ口をたたいてはいるものの、心は完全にここにあらずだった。


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