この手を離さない
まったく、未央のやつ。



自分が幸せだからって調子乗り過ぎ!



なんて言いつつ、これはある意味チャンスだとは自分でも思っていたりする。



毎日のようにお見舞いに通って、献身的に尽くせば、少しは光輝も私を1人の女の子として見てくれるようになるんじゃないかな!?



打算的だけど、我ながらいい考え!



きゃー! 



隣にお母さんがいることも忘れて、1人照れまくる私。



何を持って行こう?



手作りのお菓子なんか持って行こうか? 



ううん。



やっぱり、お菓子なんかじゃなくて、光輝の1番好きなものを持って行こう。



そうだ!



光輝が好きな里芋の煮物しよう。



昔からことあるごとにおすそ分けしていた煮物。



いつか光輝に食べて欲しくて、ひそかに練習していた。



明日がいよいよ初お披露目だ。



この夜は、『光輝の喜ぶ顔が見たい』という一念で、夜中まで大量の煮物作りに精を出した。




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