この手を離さない
「何泣きそうな顔してるんだよ?仕方ないじゃん、こうなっちゃったもんはさ。死ぬわけにはいかないんだから、受け入れるしかないっしょ!」



重い空気の中、光輝の乾いた笑い声が病室に響いた。



「光輝……」



光輝が笑っているのだから、私が泣くのはルール違反だ。



光輝の気持ちを救えるような言葉の1つもかけてあげられないのなら、せめて涙を流すような醜態だけは見せちゃいけない。



こみあげる涙を必死に飲み下す。


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