この手を離さない
「私がそばにいる!私が光輝の脚代わりになる!」



自分でも驚く程の大声で叫び、光輝を強く抱きしめた。



「奈美……?」



よほど驚いたのか、光輝の動きはぴたりと静止した。



「子供のころから、光輝のことが好きだったの。光輝がこんな状況なのにこんなこと言うのは場違いかもしれないけど、これからは私が光輝を守るから、そばに居させて」



「何言ってるんだよ!おまえ雰囲気に流されてない?そりゃおれだって、おまえのことは好きだよ。生まれた時から一緒だったんだもんな。ほとんど兄妹みたいなもんだし」



そう言いながら光輝は慌てて私の身体を引き離した。



「違うの!私にとって、光輝は兄なんかじゃないよ!」



「またまた~!でも、サンキューな。気を使ってくれてるのは素直にうれしいよ。俺とおまえの間で色恋とかあり得ないのは分かってるから」



私がいくら訴えても、光輝は頑として真面目に取り合ってくれなかった。



「もういいよ……。今日は帰るね」



「……おう」



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