この手を離さない
「でも、本当にごめん。どうしても、俺は奈美の気持ちには応えられないんだ」



体中の力が抜けていく。



立っていられるのが不思議な位だ。



「それは、わたしじゃだめってこと……?未央ならいいってこと?」




「違う!!未央のことはもうかなり吹っ切れてるし、奈美には本当に感謝してる。俺だっておまえのこと好きだよ。生まれたときから一緒だったんだ、嫌いになんかなれるわけないよ。世界で1番大切な存在で、もしこのまま付き合ったら1人の女の子としても大好きになると思う。そんな大切な女の子だからこそ、一緒に歩いていくことは出来ないんだよ」




「どうして?私は光輝がこの先どんな姿になったって気持ちは変わらないよ?好きなの!光輝が好きでたまらないの!」



泣かないなんて決意は泡のように消えてしまった。



光輝を困らせたくないのに。



こんなこと言いたくないのに。




< 87 / 191 >

この作品をシェア

pagetop