この手を離さない
光輝は、泣いてすがりつく私を前にしても、毅然とした態度を崩さなかった。



「俺が、この先ずっと車いす生活だからだよ。俺と一緒にいるっていうのは可愛い彼女や幸せな奥さんになるってことじゃない。下手したら介護者になるじゃん?大切な女の子に、そんなことはさせたくないんだ」




光輝の言葉は、私に一切の口を挟むすきを与えてくれない。




光輝がどんな立場でも、私の気持ちは変わらないんだと分かってくれない。


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