この手を離さない
「奈美ちゃん、いつもお見舞いに来てくれてありがとう」



「大学帰りに毎日来てくれてるんだってな」



不安を拭い切れないままソファに座り、光輝の両親と向かい合った。



「話ってそんなこと?水臭いじゃん」



温かい緑茶をすすりながら、この重い雰囲気を笑い飛ばそうとした。



「話っていうのはそれだけじゃなくてね」



と言って光輝ママは口をつぐんだ。



数分間の沈黙の後に、意を決したように光輝パパが口を開いた。



「親の口からこんなことを頼むのはお門違いかもしれないが、光輝のことは忘れてやってほしいんだ」


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