砂時計
第三章 夢で逢えたら

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『あいたい』

そんなメッセージを送っておきながら、私の返信は未読やなんて……。がっくりと肩を落としながら帰る道。まんまるのお月さまが優しく照らす、夜。

ドラマみたいに突然、彼が逢いにきそうな空気を纏う、夜の闇。

それでもやっぱり彼には逢えないまま、眠れない夜がやってくる。

もう、涙も出ない。眠れないなら、朝まで起きていればいい。そう割り切り、ベッドに潜り込んだ。

静かな部屋に、耳障りな時計の音。それをどのくらい聞いたころだったろうか?

睡魔に襲われ、瞼を閉じる。よかった。今夜は、眠れそうな予感……。

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