砂時計
第五章 さよならは言わない

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目覚まし時計の音に、ハッとして目を覚ます。

時計の針が音を刻むように、私の心臓の音も、命を刻んでいる。

彼の返事にうなずいていたならば……私は、どうなっていたんやろうか……?

彼が、私との約束をたびたびキャンセルしたのは、ふたりの間に温度差があったから?

彼が、忙しいのを理由に逢わなくなったのは、私との関係を自然消滅させたかったから?

彼が、毎日メッセージをくれていたのに、だんだんとおろそかになったのは、私にメッセージを返すのが面倒になったから?

彼が、『あいたい』と言いながら、私のメッセージを未読のままなのは、私を嫌いになったから?

違う。きっと違う。

私との約束をたびたびキャンセルしたのも、忙しいのを理由に逢わなくなったのも、メッセージがおろそかになって、未読のままなのも……。

別人のように痩せてしまったのも……。

彼が、望んだことやない。そうせざるを得なかったに違いない。

これは、夢やない。

今夜、もし彼に逢って、私が『イエス』と言ったら……。

私もモノクロームの世界の住人になれるような気がする。

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