砂時計
『怪しいものでは、ありません。いつもの時間に、一両目の車両に乗るようになってから、ずっとあなたをみつめていました』

『そうですか……』

『二年前から、ずっと』

『二年前から!?』

思わず、声をあげた。二年前からこの男性に、こっそりとみつめられていたなんて。

スポーツマンらしく、サッパリとした短い髪に、大きな身体。でも、二年間もこっそりと私をみつめる、気の小さい性格。

残念なイケメン……というのが、私の第一印象だった。

『あの……私、四ツ橋線なので』

JRなんば駅から地下鉄四ツ橋線までは歩いて数分。すぐに到着した。

『ああ! すみません……』

『告白する』とか言っていたのに、大きな身体を小さくしているだけ。

『とりあえず、連絡先、交換します?』

気の小さい男性に私から、提案をした。男性は私の提案に従い、LINEの連絡先を交換した。

なんで私から……。そう思いながらも、突然、声をかけられたことを心の奥底でよろこんでいる私がいた。

不思議な縁を感じた。

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