俺のことを好きにさせてやる
その日、私は気分が悪くて
初めて授業をさぼった。
だれもいない屋上で、
視界をゆらゆらと揺らがせた。
「…やだ……」
思わずこぼれてしまった本音は、
大きな空へと消えていった。
そのとき、ふと彼の笑顔が思い浮かんだ。
彼女思いなとこも、全部好きだった。
たとえ、それが私に向けられていなかったとしても
やっぱり優しい所は変わらないね、って
私だけが昔から知っていることを
改めて実感することができたから。
それでも、苦しくて、好きでいることをやめたくなることもあった。
好きになってくれる人を好きになれたらいいのにって、何度も心に思った。
「誰か助けてよ……」
なのに、どうして諦めがつかないの。
だれか、
私を助けてよ。
「俺が助けてやるよ」
そのとき出会ったのが、彼だった。