俺のことを好きにさせてやる
one .
「梨乃」
SHRを終えると、すぐに私を呼ぶ声が聞こえた。
振り向くとそこには、
私をみて優しく微笑む彼の姿があった。
「成瀬くん」
「一緒に帰る」
ぽん、と成瀬くんの手が頭に乗せられた。
周りの子が奇声をあげる中、
私は静かにそれを受け入れた。
普通の子ならもっと可愛い反応をするんだろうな、と考えながらも
頭の中は優斗でいっぱいだった。
いつもなら、今日は一緒に帰るはずだったけれど
成瀬くんの誘いを断れるわけがなかった。
だって彼は、苦しむ私を助けようとしてくれているのだから。
帰りの支度を終えると、
私は彼の横に並んで教室を後にした。