ココアの甘さ
隣で恵介も新しく注文したお酒を飲もうとグラスに手を伸ばす。
けれど、それを私が制した。

「何するんだよ。」
「今日はもうダメ。」

「いいだろ。土曜日で明日も休みなんだから。」
「いつもより体調良くないでしょう。」
「全然平気だって。むしろ元気だよ。」

グラスを離そうとしない彼に事実を言い放った。

「恵介、今軽く貧血状態でしょ。マスター、ココアあったわよね?一杯ちょうだい。」
「何言ってんだよ、貧血なわけないだろ。」

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