ココアの甘さ
「私は結婚したいと思う人も、そんな可能性のある人もいないのでお見合いの話は進めて頂いて大丈夫です。」
「そうか、分かった。」

それからは会話のない食事だった。
ただ無言で高級なお肉を口に運ぶ。

でも、ここで食べる食事よりもあのバーで、恵介と話ながら食べる方が美味しいと感じてしまうのは彼がいるから、なんだろう。


それから父は仕事に戻り、母と一緒にタクシーに乗った。
独り暮らしをしていても、結局父と働く場所は同じだから近くに住んでしまった。

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