紅茶同盟*短編*
一本の紅茶
「あつっ」
頬に当てられたものにあたしは悲鳴をあげた。
誰よ?なんて言いながら振り返るけど相手なんてわかりきってる。
「それ、結構熱いんだけど」
眉間にしわを寄せたあたしと対称的に彼はしたり顔だ。
「まあまあ、俺のおごりの紅茶でも飲みなさい、甘いの好きなんだろ?」
「…まあね」
差し出された紅茶は飲まずにそっと両手で包み込んだ。
じんわりとした温かさが冷えた手のひらに伝わっていく。
「ここの夜景いいなー、ここで決定だ!」
満足げに車にもたれながら彼はコーヒーを飲み干した。
< 1 / 5 >