紅茶同盟*短編*
彼にならってあたしもフェンスの向こう側の夜景に目を移す。
宝石を散りばめたような景色。
これがあたしと彼、二人だけのものになれば…なんてロマンチックなあり得ない話。
現にあたしたちの隣には他のカップルが存在する。
居たたまれなくなったあたしたちはそそくさと車内に引き返した。
運転席に腰を下ろしたと思えば彼はすぐさま眠りの世界。
隣にあたしがいるというのに…あ、あたしだからか。
一人外に目を向ける
と、不意に手を握られた。
跳ねる心臓。
彼に目を向けると相変わらず目を閉じている、どうやら寝ぼけているらしい。
名残惜しいけど
そっと包み込まれているあたしの手を抜き取る