星の街に君と私
足音が遠ざかり、少しだけ上目で周りを見ると、遠くに制服のズボンかちらりと見えた。
そう、やっぱりだ。
演奏していたのは紛れも無い男の子。ブランケットを頭まで被り、呼吸を整えた。泣いて乱れた鼓動なのか、演奏者を見つけたという鼓動の乱れか、定かではなかった。
ブランケットのやり場に困り、結局私は持って帰って洗濯する事にした。ちょっとだけ柔軟剤を多めに入れたのは無意識だと言い聞かせて。
うまく行かない1日が、あの男の子のお陰で、少しだけ藍色が晴れた。藍色の空に、季節外れの天の川が流れ込んできた気分だった。
今日の星空もまぁまぁ綺麗かもしれない。
らしくないことが頭よぎり、ブラインドを、上げる。
「わぁ」
思わず感嘆の声、自分って意外と女子っぽいと思った。
今夜は予報は雨、でも
見事な星空だった。
月に照らされた指先が少しだけピアノを弾く動きをした。憧れている指の動き、いつも想ってたあの動き。