甘いキスに溺れてく
甘いキスに溺れさせて
「紫苑さん!今日はバレンタインデーって言うのに朝からこの仕事の量に泣きそうです。
絶対に残業確定ですよね…。」
私の隣で言ったのは入社二年目の雛ちゃんだ。
因みに私は入社五年目で雛ちゃんは私の後輩だ。
「何ですかこの書類の山は!
営業部の事務ってこんなに忙しいなんて入社した時は思わなかったです。」
「それは私も同じだったよ!
まさかこんなに忙しいなんて思いもしなかったからね。
営業が私達に見積を作らせたりするだけだと簡単に思ってたけど、関わる以上はアイディアなんかも一緒に考えたりしてさ、仕事は嫌いじゃないんだけど帰りが遅くなるのは最初は凄く嫌だった。
もう五年も働けば慣れたけどね。」
「私は慣れたくありません!
今日はバレンタインデーで彼氏とデートなのに残業なんて本当にありえないんですけど。
昨日はあんなに頑張ったのに朝からクレーム処理で仕事が進まなくて定時で帰れないなんて地獄です。」
「今日は特別に私が雛ちゃんの仕事をしてあげるから定時で仕事を上がって彼氏とデートしといでよ!」
「えっ!?でも紫苑さんは予定とかあるんじゃないですか?」
「今は私は彼氏も居ないしどの道残業だから気にしないで!」
「ありがとうございます!このお礼は明日のランチ奢るって事でいいですか?
だけど紫苑さんみたいに綺麗な人に彼氏が居ないなんて信じられません。」
「褒めても何も出ないよ?」
「お世辞じゃなく本当にそう思ってますって!」
「さっ、もう定時まであと一時間だし手を動かすよ!」
「はぁーい!」
私達は止めていた手を動かして仕事の続きをした。
仕事に集中してると一時間なんて直ぐに経ち、定時のチャイムがなった。
「じゃあ紫苑さん、今日は甘えさせて帰らせてもらいます。」
「気にしないで今日は彼氏とのデートを楽しんでおいで!じゃあお疲れ様!」
「お疲れ様です!」
そう言って雛ちゃんは急いで帰って行った。
途中でコーヒーを飲んだりして休憩を挟みながら私は仕事をしていた。
営業の人も今日は直帰の人も居て会社に電話があったり、会社に戻ってきても早く帰ったりとかで今、営業部にいるのは部長と係長と私だけだった。
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