甘いキスに溺れてく




時刻を見ると19時を過ぎていた。


自分の仕事は終わったが、雛ちゃんの仕事をしたら帰りは21時になりそうだ。


すると残っていた部長と係長が帰るみたいで私にあまり無理はしないようにと言いながらも急いで家に帰って行った。


一人になった私は急いで仕事を終わらせる為ににパソコンに集中して手を動かした。




「やっと終った…」


時計を見るともう21時を過ぎていた。


流石に疲れた私は自分用に買っていたチョコレートを開けて食べた。


甘くて美味しくて、疲れた時はやっぱり甘い物が一番だ。


私は大きく椅子の上に座ったまま大きく伸びをした。


すると突然、営業部の扉がガチャリと開いた。


「あれ？田辺はまだ残ってたのか？」


「一ノ宮主任…」


私は慌てて椅子から立ち上がった。


よりによって一番、見られたくない相手にみられるなんて。


私が入社した時はまだ主任ではなかったけど、一ノ宮主任は営業部のエースだった。


そんな一ノ宮主任に密かに憧れていた。


だけど一ノ宮主任は当時から社内でも得意先にも凄くモテていた。


だが丁度一年前、私は仕事でミスをしてしまい凄く落ち込んでいた。


そんな私を一ノ宮主任が励ましてくれた。


その優しさが嬉しくて、一ノ宮主任は憧れの先輩から好きな人に変わったんだ。


だけど一ノ宮主任に自分の気持を伝えられないのは、きっと彼女が居て振られるに違いないと思うからだ。


そうなれば気まずくなるしそれなら密かに恋をしたままで、いつか一ノ宮主任よりも好きな人が出来るまで好きでいようと思った。





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