佐伯くんの好きなヒト
本当はちょっと自惚れてた。
佐伯くんの好きな人は美優さんだって分かってたけど、少しずつ私の方を向いてくれてるんじゃないかって。
だって最近の佐伯くん、今まで以上に恋人らしいことしてくれてたんだもん。
ヤキモチ焼いてくれてるのかなってちょっと期待しちゃったり。
今日だって、初めて彼の家にお泊まりで呼んでくれて嬉しかったのに。
「 (……あ、やばい) 」
そう思った時にはもう遅くて、私の頬は涙で濡らしてしまっていた。