【短】セント・ミステイク
あんな…あんなスズメバチみたいな邪悪な男、絶対好きじゃないっ!!


そう納得させたかったのに、友達はさっさとトイレから立ち去ってしまった。


1人取り残された私は、ゆっくりと手洗い場の鏡の方に視線を移す。


「…………ッ」


鏡に映り出された顔は、まるで激しいダンスを踊った直後の様に真っ赤に染まっていた。


「ホント……説得力ないわ……」


全くの無表情ならともかく、こんなに赤くなって“好きじゃない”って言っても、誰も信じないと思う。


ギュッと目をつぶって壁に寄りかかると、壁の冷たさが心地よく感じた。
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