俺様上司は溺愛体質!?

「そうだな。どっちにしたって大量生産できない商品なんだ。最初からターゲットを絞る必要はある。そのターゲットを十代に絞るとは考えていなかったが……」

 真屋時臣はしばらく思案するようにこめかみを指で叩いていたが、椅子の前で中腰になってソワソワしているちとせを見て、ふっと表情を緩めた。

「やってみろ、萩原。企画書の書き方はわかるな? 来週末の商品開発会議でさっそく議題に上げる」
「ら、らいしゅうっ!?」
「そうだ。企画主旨、原材料費や製造コスト、納入店舗数、類似品の売り上げ実績、販促費用の原価まで、具体的な数値データも必要だ」
「……」
「おい、無言になるな、凍りつくな」
「すみません。でも、あの、私ふんわりしたことしか今説明できなかったから、できるのかと……」

 急に心臓がキリキリと痛くなってきた。
 胸のあたりを押さえる。


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