俺様上司は溺愛体質!?
 
 ポツンと取り残されるちとせであったが、

「お前今、飛び出す気だったのか」

 ボソリと耳元で声がして、まったくもって気を抜いていたちとせは「ひゃあ!」と飛び上がった。

 振り返ると、なんと壁にもたれるようにして真屋時臣が立っていた。しかもすぐ後ろにである。

「なっ、なっ、なんですかいつからいたんですか!?」
「お前が観葉植物の陰にしゃがみこんだところから」
「わりと最初ですね! 忍者ですかっ?」

 強気で言ってはみたが、見透かされていたようだ。恥ずかしさのあまり足元に目線を落とす。

「だって、あんなの……酷いです」
「ただの愚痴だろ」
「でもっ……」



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