俺様上司は溺愛体質!?
ゴクンと息を飲み、おそるおそる顔を上げるちとせを見て、真屋時臣はふふっと笑って体を離してしまった。
(あれ、ご褒美は?)
何を期待していたかは置いておいて、完全に肩透かしである。
「とりあえず会議が終わってからだ」
「……鬼っ!」
「その顔。ふふっ。まぁせいぜい頑張れよ。会議に必要なのは俺のコネでもなんでもない。お前が客観的でわかりやすい数字を見せることだからな」
そして真屋時臣はくるりと踵を返しエレベーターに乗り、階下に降りて行った。
「真屋さんめ……」
悔しいけれど、ちとせのハートにはしっかりと火がついたようだ。
こんな気分になったのは、信治郎に占ってもらってから後、実際にプレズィールを受けると決めた時以来かもしれない。