俺様上司は溺愛体質!?

 信治郎以外、誰もちとせが受かるとは信じていなかったプレズィール。自分だって最初は信じてはいなかった。あまりにもたくさんの企業から来るお祈りメールに心が折れかけていたのだ。

 けれど信治郎に「ベストを尽くしてごらんなさいよ」と言われて、ちとせは心を入れ替え臨んだのである。


(私……やり遂げてみせる……!)


 目の前にニンジンをぶら下げられた馬の気分が痛いほどわかる。
 馬が走らないわけにはいかないように、ちとせもやらないわけにはいかない。

(真屋さんの言うご褒美ってなんだろう? いや別にご褒美だけのために頑張ってるわけじゃないですからね!)

 とはいえ、心の中で言い訳をするあたり少し後ろめたいのかもしれなかった。






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