俺様上司は溺愛体質!?
首を傾げると、真屋時臣はかすかに眉根を寄せ自問自答する。
「いや、そういう俺もよくわからんな……さっきのあれはまるで……」
どこか遠い目をした彼は、それからジッと自分を見つめるちとせに気づいて、ため息をついた。
「気づきたくはないな」
「真屋さんにわからないものが私にわかるとは思えないんですけど」
「お前はもう考えるな。きっと腹がたつ」
「えーっとわかりました。お叱りを受けるのはいやなので考えないようにします」
結構な言われようだったが、いやな気はしなかった。
おそらく真屋時臣が身にまとっている空気のせいだろう。柔らかいのだ。
彼もまた私以上に、この会議で何かを乗り越え、ホッとしたのかもしれないと、ちとせは嬉しくなった。
「とりあえず、お疲れ様でした!」
笑顔全開のちとせにつられるように、真屋時臣も微笑む。
「ああ。萩原もお疲れ様」