俺様上司は溺愛体質!?

 チュッ、チュと、リップ音が耳のすぐそばで響く。身悶えすると、ときおりふうっと耳に息を吹きかけられて、また体がビクビクと跳ねる。
 そんなちとせの反応に、男がなんとなく笑っているのを感じる。いや、笑うというよりも機嫌がいいというべきか、そんな雰囲気だ。

(な、な、なんでこんなことになったんだっけ……? えっと、コンビニ寄って酔い覚ましにウコン買おうと思ったらなくて、そこでナンパされて、二軒目のBARに行って……なんだかんだで楽しく飲んでて……それから途中で飲んでた男子が入れ替わったような……いや、えっと?)

 泥酔もいいところだが、ちとせは必死に記憶の糸を手繰り寄せる。だが自分の肌の上をなぞる指の感覚がその思考の邪魔をするのだ。

 着ていたカーディガンを脱がされ、ナラカミーチェのブラウスのボタンが外されていく。

 春とはいえ少し肌寒い夜だった。
 身を竦めた瞬間、今度は鎖骨に息が触れる。
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