俺様上司は溺愛体質!?

 胸をなでおろすちとせであるが、編み機の話題になった途端、潤と真屋時臣が、どこか浮かない表情になったのが気になった。

「あの……なにか私変なこと言いました?」
「いや、お前のせいじゃない。俺の問題だ。とにかく今日はもう残業しないこと。定時を過ぎたんだから帰宅だ。最近無理をさせたし、ゆっくり休んでくれ」

 真屋時臣はそう言ってちとせの不安をバッサリと否定してしまった。

(俺の問題かぁ……。こないだもそんなこと言われたけど。仕事に関係ないことならやっぱり突っ込めないよね。しかたないかな……。)

「まだ明るいよね〜。久しぶりに銭湯でも行こうかなぁ」

 のびのびした様子で手を挙げるのは潤である。両腕と肩のストレッチをしながら窓の外を眺める。


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