俺様上司は溺愛体質!?
運転する真屋時臣の横顔をチラチラと眺めていたら、あっという間に恵比寿にあるレストランに着いてしまった。
車を降りると同時に、黒服の男性が出てきて、真屋時臣の車のキーをうやうやしく預かる。おそらくこことは違うどこかに停めるのだろう。
「真屋さん!」
「どうした」
「これお城ですよ!」
「いや、レストランだが」
即座に否定されてしまったが、目の前にそびえるキラキラした建物は、NHKの古城特集で見るような、総二階建てのお屋敷だった。
しかも前方には川があり、石橋を渡らなければレストランに入れない。緑が多く、よく手入れをされた華やかな庭と、周囲から視界を遮るためか、絶妙な高さの樹木が植えられている。
「わぁ……きれい……」
ライトアップされた石橋に目を細めていると、真屋時臣はちとせに手を差し出す。
「なんですか?」
「なんですかじゃない。こうするんだ」