俺様上司は溺愛体質!?

「見ていてください。私のこと」


　彼の眼の前では何も取り繕うことはできない。
　だからって全てをわかってもらえていると勘違いしたくない。
　自分の言葉で、そして行動で示そう。

　ちとせはそれを、誰よりも信じて欲しい人に誓ったのだ。

「わかった」

　真屋時臣はうなずいた。


「……えっと、以上です……」

　言いたいことを言ってすっきりしたのはいいが、逆に今度は恥ずかしさが押し寄せてくる。

　ちとせはモタモタしながらドアの鍵を開け、内側に体を滑り込ませると、もう一度はにかむように笑う。

「おやすみなさい、真屋さん」
「ああ、おやすみ」

　自分がドアの前にいるとなかなか閉められないだろうと、真屋時臣はその場を早々に離れることにした。