俺様上司は溺愛体質!?

 店員がにっこりと笑う。彼女の細い指にもいくつか星をモチーフにした指輪がはまっていた。

「それも素敵ですね」
「ありがとうございます」

 大げさでないジュエリーの他には、シンプルな黒を基調とした洋服がかかっている。

 そして、何よりも目を引いたのは、カウンターの横のコーナーに、紺色に金の縁取りをしたナイトガウンが飾られていることだった。

 ナイトガウンというのは、ネグリジェの上に着るガウンのことである。

「きれいですね、ナイトガウンですか」
「まぁ、お客様。お若いのによくご存知ですね」

 彼女は嬉しそうに微笑み、ナイトガウンを見つめるちとせの横に並んだ。

「今ではネグリジェ自体あまり着られませんけれど、三十年以上前は普通に売られていたんですよ。私も小学生でしたけれど、母にせがんで子供用のネグリジェを仕立ててもらいましたの」
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