俺様上司は溺愛体質!?
「ええ。母の代までですが。私が継いでからはこのような形のセレクトショップです。もしかしてお母さまにご利用いただいていたのでしょうか? 今でも時々そういったお客様が月に数人来てくださるんですよ」
そして彼女は、
「少しお待ちくださいね」
と、カウンターの奥の部屋に引っ込んで、今ではほとんど見なくなった大きなアルバムを手に戻ってきた。
「よかったらご覧になりますか? 当時の商品ですとか、内装がわかりますから。もしかしたらお母さまも写っているかもしれませんよ」
「あ、ありがとうございます……」
(ど、どうしよう。常連の娘さんだと勘違いされてる!)
違いますと否定するなら今しかない。
だが彼女が持ってきたアルバムには、カタログでしか知らない当時の景色がある。その写真はどうしても見てみたかった。