俺様上司は溺愛体質!?

 アルバムを閉じて、さらに深々と頭をさげる。

 けれど店主はそんなちとせを見て、首を横に振った。

「いえ、私が勝手にあれこれ勘違いしてしまったのですから、気にしないでください」
「でも、本当に……ごめんなさい。どうしても昔の〈VEGA〉を見てみたくって……」
「ふふっ。あなたはとっても素直なんですね。こんなことを言っては失礼かもしれないけれど、可愛い人ね」

 彼女はカウンターに一度戻ると、革のケースを持って戻ってきた。

「瀧川織子(たきがわおりこ)と申します」

 差し出されたのは一枚の名刺だ。

表には〈VEGA〉瀧川織子とだけ書かれていて、裏には店の情報が書いてある。

 どうやら彼女がこの店の店主らしかった。



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