俺様上司は溺愛体質!?
「俺はそんな話をしたくて来たんじゃない。織り機の話をしに来た。国内で唯一あれを持っているあなたと、ビジネスの話がしたいんだ」
「だから条件は伝えたじゃない」
「条件? あれが? ふざけるな」
「ふざけてなんかない。うそじゃないわ。あなたが私のところに戻ってくること。それだけよ」
頭をガツンとハンマーで殴りつけられたような気がした。
(私のところに戻ってくること……?)
「時臣さん……時臣……。十年前、私を選んでくれたはずなのに、五年経って、あなたは私から逃げたわね」
「……卑怯な自分に耐えられなかったからな」
「違うわ。あなたは優しいの。優しいから……」
さらり、と衣擦れの音がした。
(あっ……!)