俺様上司は溺愛体質!?
「ちょっとドキドキしましたけどさすがに椅子の上まで見ていきませんでしたヨ」
「そんなしてやったり、みたいな顔されても……」
ちとせは唖然としつつ、バッグをデスクの上に置いた。
さすがに社内に泊まり込むのはまずいだろう。
「それさ、真屋さんに行ったらホテルくらい用意してくれるんじゃないの?」
「ホテル嫌いデス」
「嫌いデスってさぁ……」
「大丈夫ですヨ。私カラダ丈夫ですカラ」
「そういう問題じゃないよ」
ショコラは大事なデザイナーだし、なにより女の子だ。
会社で寝泊まりして体調を崩す以前に、不安なことはたくさんある。
(こんなご時世だし……社内によからぬことを考える奴だって絶対にいないとも限らないし……。)
ここまで聞くと、ちとせに他の選択肢は思い浮かばなかった。