俺様上司は溺愛体質!?
 だがそんなちとせの願望もむなしく、信治郎の占いは的中するのだ。




 週明けの月曜日、『plaisir(プレズィール)』の営業部に常務とともに一人の男が姿を現した。

「真屋時臣(まやときおみ)です。五年ぶりに帰国しました。よろしくお願いします」

 突然帰ってきた超弩級のイケメンエリートに部署内は騒然となった。
 とにかく見た目だけではない。なんと常務の秘蔵っ子で、今後は新規プロジェクトのリーダーになる予定だという。
 
「なんかすっごい人来たね。高そーなスーツ着てるし。足ながっ。何もかも日本離れしてるよね。見てほら、女子社員の目の色変わってるよ。指輪はしてないみたいだけど独身かなぁ……。まぁ、星野源スキーな私のタイプではないけど、目の保養になるわね、これは……って、ちとせなんでしゃがみこんでるの?」


 営業部の広いフロアのさらに端で、ちとせは万が一でも彼の目に入らないようしゃがみこんでいた。

(嘘でしょ! 昨日のあれは夢ってことにしたじゃない!)
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