俺様上司は溺愛体質!?

「何飲む?」
「今日はなんのフルーツが入ってるの?」
「苺だな」
「じゃあそれ。あと炭酸がいい」

 オーダーを受けて信治郎とちとせの前から離れる龍を見送り、ちとせは改めて信治郎の横顔を見つめた。

 今日の信治郎も、粋に着物を着こなしていて、どこからどう見ても趣味人の呉服屋の若旦那といった感じである。

「ねぇ、信ちゃん……」

 すると彼はすかさず言葉を返す。

「占って欲しいのね」
「……すごいね。そんなこともわかるんだ」

 正面を見据えたままトマトジュースを飲む信治郎は、グラスをカウンターに置き、袂からハンカチを取り出し、そっと口元を拭った。



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