俺様上司は溺愛体質!?

 肩透かしを受けたような気になったが、信治郎は扇子を口元にあててニヤリと笑った。

「まぁ聞きなさいよ」
「うん」

 ドキドキしながら信治郎の次の言葉を待った。

「そうね……ちとせは、幸せになれるわ」
「え?」
「見て見ぬ振りをしてもいいし、しなくてもいい」
「それって……!」

 どっちを選んでも幸せ。
 あまりにもふざけた占いの結果に、ちとせは気色ばむ。

 だが信治郎は皮肉っぽい笑顔を浮かべたまま、扇子の先でちとせの顎を持ち上げた。

「そう、言ってもらいたいんじゃなかったの?」
「信ちゃん……」
「どちらを選んでも『あなた』は幸せになれるのよ。だってそれはあなた自身の選択だもの」





< 198 / 275 >

この作品をシェア

pagetop