俺様上司は溺愛体質!?
肩透かしを受けたような気になったが、信治郎は扇子を口元にあててニヤリと笑った。
「まぁ聞きなさいよ」
「うん」
ドキドキしながら信治郎の次の言葉を待った。
「そうね……ちとせは、幸せになれるわ」
「え?」
「見て見ぬ振りをしてもいいし、しなくてもいい」
「それって……!」
どっちを選んでも幸せ。
あまりにもふざけた占いの結果に、ちとせは気色ばむ。
だが信治郎は皮肉っぽい笑顔を浮かべたまま、扇子の先でちとせの顎を持ち上げた。
「そう、言ってもらいたいんじゃなかったの?」
「信ちゃん……」
「どちらを選んでも『あなた』は幸せになれるのよ。だってそれはあなた自身の選択だもの」