俺様上司は溺愛体質!?

 どちらを選んでも「あなた」は幸せ……。
 どっちを選んだっていい。
 
 ああ、そうか。
 じゃあ私は誰を幸せにしたくて、こんなに悩んでいるの?


 その瞬間、ちとせの中で絡まっていた糸がほどけたような気がした。


「信ちゃん、ありがとう……目が覚めたよ。私、自分が傷つくのが怖くて、誰かに背中を押してもらいたかったんだ」
「あーら、誰だって怖いわよ、あんただけじゃないわよ」
「うん、そうだね。誰だって怖いんだよね。うん……ありがとう」


 こうしてはいられない。

 腕時計に目を落とすと、時計の針は七時半をさしていた。



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