俺様上司は溺愛体質!?

 急いで財布からカクテルの代金を抜いて立ち上がり、ドアへと向かって走り出す。

「龍さん、ごちそうさま。また来るね。慌ただしくてごめんね。っていうかあれすごく美味しかったけどお酒だった?」
「実はノンアルコールだった。そのほうがいい気がした。なんとなく」
「やっぱり!」
「また来いよ」


 本当に彼らにはかなわない。世話になりっぱなしだ。

 ちとせは苦笑しながら大通りへと走り、流していたタクシーを捕まえ、以前瀧川からもらった名刺を運転手に差し出した。

「ここまで、超特急でお願いします!」

〈VEGA〉の営業時間は十一時から八時までだ。

 間に合うかどうか微妙なところだったが、どうにかタクシーは滑り込みで〈VEGA〉の前に停車した。

 入り口のドアにはブラインドがかけられているが、店内に明かりが外に漏れている。

 代金を支払い、急いで〈VEGA〉のドアを叩いた。
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