俺様上司は溺愛体質!?
「だから、真屋さんはあなたに恨まれてるって思っています」
「恨む?」
「あなたが織り機を譲ってくれないのは、自分を恨んでいるからだと……でも違いますよね。あなたはただ自分が楽しいようにしてるだけ」
「そう……そうね。そうかもしれないわ」
瀧川は先日ちとせを座らせたソファに腰を下ろす。
ピンと伸ばした背中。ゆったりと編み込んだ黒髪。白い手は膝の上で上品に重ねられている。悔しいくらいきれいだ。
まるで貴婦人の肖像画のような美しさに正直見惚れてしまう。
(こんな人なら、真屋さんに好きになってもらえるんだ……。)
どうしようもない嫉妬がちとせの胸を焦がす。
けれど自分はそんなことのために来たのではないのだと、何度か瞬きをしてから彼女を見つめた。
「私と時臣のことは知ってる?」
瀧川が軽く首をかしげる。