俺様上司は溺愛体質!?

「十年前、真屋さんと一緒に仕事をしていた人から少し」
「そう……。時臣と出会った頃、私は当時付き合っていた彼と口約束ではあるけれど結婚の約束をしていて……でも後悔していたの」
「後悔?」
「ええ。はっきり言ってしまえば、結婚したくなかったの。〈VEGA〉もうまくいっていたのに、彼は結婚したら家庭に入って、すぐに子供をうんでくれなんて言うのよ」
「へぇ……このご時世、なかなか古風な方なんですね」
「まぁ、そんな男はゴロゴロいるわよ。こっちの都合は御構い無しなの。そんな時に彼から学生時代の後輩だって、時臣を紹介された。すごく生意気でエネルギッシュで、可愛かった。一目見て気に入った。だから彼と同時に付き合うことにした」
「二股……ですか」
「そうよ。時臣を共犯者に仕立てたの」
「そのほうが都合がいいから」
「そう!」

 瀧川はキラキラと目を輝かせた。




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