俺様上司は溺愛体質!?
「私は永遠に隠し通せたと思うわ。けれど時臣は根が素直でまっすぐだから、自分を責めるようになった。付かず離れずで数年。結局時臣は私と別れることを決めて、きちんと準備を整え、姿を消した。さすがに国外に出られては、追いかけていけないものね……」
「お付き合いしていた彼は?」
「私に店を辞める気がないのがわかったみたいで、諦めて実家に戻って家業を継いだわ」
「そうですか」
ちとせは真屋時臣のことを思う。
『いい女としか付き合わないから』
そうか。
あれは私を侮蔑する言葉でもなんでもなくて、自分に対する皮肉だったんだ。
先輩の彼女を好きになって、思いを止められなかった、自分への……。
「……真屋さん、優しすぎませんか」
素直に思ったことを口にした。