俺様上司は溺愛体質!?

「じゃあお先に。お疲れ様です」
「お疲れ様デス」
「お疲れー」
 
 残っているショコラと潤に声をかけ第三を出る。

(俄で祝杯でもあげようかしら。いや、まだ週の真ん中だしなぁ……。)

 エレベーターに乗り込み正面フロアに降りると同時に、
「萩原さん」
 スーツの男が駆け寄ってくる。営業部の伊東だ。

「伊東さん、お疲れ様でした」
「プレスリリース見たよ、おめでとう」
「ありがとうございます」
「でね」

 途端に何か言いにくそうに、伊東は口ごもる。

「今から飯行かない?」
「え?」
「……お願いします」

 プレズィールの玄関でもある正面フロアで、営業部一のモテ男子が、深々と頭を下げた。

 ちょうど終業時にまるかぶりだったせいか、その風景はいろんな推測を生み、面白おかしく、瞬く間にプレズィール内を駆け巡るのだが、ちとせはもちろん知る由もない。

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