俺様上司は溺愛体質!?

「本当の真屋時臣って？」
「だってこれ完璧超人でしょ。求められてそれを演じてるだけって感じ。裏の顔があって当然」
「ああ、そういうことね」

　完璧でい続けることは難しい。

　凡人の自分でさえ、人間関係を維持していくために当たり障りのない言動を続けることが時折難しく思うことがあるのだ。
　
（真屋時臣レベルなら、周囲の期待も半端ないし、もっと努力し続けなくちゃいけないんだろうな……。まぁ、元々恵まれた人だとは思うけど、それはそれで大変そうだ。）

　そしてある意味自分は本当の真屋時臣の一片を知っているのではないかとも思ったが、十年前に振られたことも、先週なぜか同じベッドの上にいたことも、誰にも知られてはいけない事実だったと慌てて考え直した。

　しかも二度あちらからお断りされているときている。