俺様上司は溺愛体質!?
自分にとって真屋時臣がどれだけ特別な存在かわかっていたのに、伊東に過去の自分を重ねてしまい、結局こんな形で頭を下げている。
「いや……俺こそごめん。君の気持ちはわかってたのに、すごく強引だった。もしかしたら付け入る隙があるんじゃないかって、思ってたからさ」
頭上から聞こえる伊東の声は優しかった。ちとせを責める気配は微塵も感じられない。
(やっぱり優しい人だった……。私がちゃんとしないから、こんな風に傷つけてしまった。)
申し訳なく思いながら顔を上げると、伊東がちとせの背後を見て
「あっ」
と、目を丸くする。
「伊東さん?」
何かあったのかと首をかしげるちとせ。