俺様上司は溺愛体質!?

 倫理的な問題はいったん置いておいたとしても、これは到底人に話せるような話ではない。


 それから話題は細布子の好きなアーティストのアルバムの話になり「我々には圧倒的に潤いが足りない」といういつもの結論に落ち着く。

「だからってわけじゃないけど、今度合コンに行かない?」
「どうしたの急に。タエちゃん、そういうの今まで乗り気じゃなかったじゃない」

 プレズィールは世間でもよく知られる大企業である。合コンのお誘いには事欠かないのだが、細布子は今まであまり積極的ではなかったのだ。

「うん。待ってるだけじゃダメかなって思ってさ」
「信ちゃんの占い?」
「そう。いい出会いがあるって言われたから決心ついたんだ。その出会い、自らつかむべしってね」
「うっ、まぶしいっ!」

 まっすぐな細布子の言葉に衝撃を受けた。

 冗談ではなく、ちとせには小さくガッツポーズをする細布子が眩しく見えたのだ。
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