俺様上司は溺愛体質!?
「ま、真屋、さんっ……」
抗議のつもりなのか、ちとせは両手でパシパシと真屋の胸を叩き、さらになみだ目になってしまった。
「ん? 何が不満なんだ。お前の言うとおりにしてやってるはずだが」
「なにがって……しょっ、性悪ですね……」
「だったら、俺にわかるように言わないお前が悪い」
「……もうっ……」
ちとせは真っ赤になりながら、手の甲で目元を覆い、悔しそうに眉を寄せて唇を尖らせる。
ためらい、迷いながら、それでも声を絞り出した。
「唇に、して……」
「そう言えばいいんだ」
真屋は掛けていた眼鏡をサイドボードの上に置き、それからちとせを起き上がらせ、向き合う形で膝の上に乗せた。